理奈と知り合って3ヶ月が経った


毎日のようにメールや電話をする仲だったけど、相変わらず彼女は付き合う事に首を縦に振らない


俺は進展しない関係に焦りと苛立ちがつのっていた




そして理奈は彼女が想っている先輩の愚痴も話すようになった




電話で冷たくされた事や、先輩とその彼女が一緒に歩いているのを見た事


理奈は落ち込んでいた


俺は黙って聞いていたが、その話を俺にするのはあまりにも思いやりがないんじゃないかと嫌悪感を抱いていた




ある日事が起こった


彼女が突然電話をかけてきた


理奈は泣いている


どうしたのかと聞いたら


「先輩が彼女と別れると言っていたのにヨリを戻した」と言った




これに対して俺はキレた


一体どういうつもりなんだろう


俺が自分のことを好きだと知っているくせに!
彼女と別れたらどうするつもりだったんだ!!


「俺は愚痴を聞く人形じゃない!!!」


一方的に電話を切った


大人げないと思ったがいくらなんでも限度がある…


3日ほどは理奈と連絡しなかった


彼女の事は好きだけど、俺自身一旦冷静になった方がいい
気持ちが落ち着いたら彼女に謝ろうと思った




4日後彼女から電話があった




「何か久しぶりな感じがするね」
「うん…そうだね」
なんだろう?彼女は笑っている




「今日ねネットで知り合った人と会ってたの」
「え…」
どういう事だ…?




「男…?」
「そう男」
すごく嫌な気がした




「その人とどうなったの…?」
「付き合うことになったよ」


その瞬間俺は金属バットで殴られたかのような衝撃を受けた


声にならない声が出る
「どう…して…」


「あなたが悪いんだよ」


彼女は笑っている
何なんだ…この子は…


俺は彼女に対して悲しさと怒りと、おぞましさを抱いた
俺が欲しかった理奈の彼氏という立場


それを知り合ったばかりの男に


これ以上話していたくない!
電話を切った




気になる事があった
その男と寝たのか…?


…だけどそんなこと聞けないし聞きたくない


俺は胸が張り裂けそうな位に苦しくなり


次の日仕事を休んだ


昨日の事があまりに衝撃的で布団から出られなかった


頭の中でぐるぐる考え続けていた


理奈が好きなのは先輩で、先輩は彼女と付き合っている…
そして理奈はネットで知り合ったばかりの男と付き合った


俺の…存在は…


人生でこの事実から避けてきた


知りたくなかったし


認めたくなかった


だから今まで逃げて逃げてきた


でもこの時は自分の顔面に叩きつけられたようで、認めざるをえなかった






俺は男として価値がないんだ…






その後も時々理奈とメールをした
俺は彼女に対して「軽い女」とか中傷の言葉を投げつけるようになった


虚しい事は分かっていたけどこうする事でしか自分自身を保てなかった


彼女から次第に返信が来なくなり






連絡が途絶えた






以前に教えてもらった彼女のTwitterを見ると
付き合った例の男との楽しそうなやり取りがあった




……


…ようやく分かった


始めて話した時の違和感




彼女は自分の恋がうまくいないから、愚痴を話したりウサを晴らす道具が欲しかったんだ
そしてその時たまたま知り合ったのが俺だった




自分の思った通りにならないと、いらなくなったオモチャのように簡単に投げ捨てる




彼女は俺の事を好きじゃなかった




そして




これからも好きになることは無かった




こんな女に…


今までの3ヶ月は何だったんだろうと悲しくなった…




それ以降も時々彼女のTwitterを見た。
見たからといって何をするわけでもない




あの男と別れまた別の男と付き合った事や、男とのツーショット写真を見るたびに心がズキズキ痛んだ


それでも見てしまう


こんな事は無意味だしストーカーみたいなのは分かっていたけど




まだ彼女の事を忘れられなかった




何で彼女のTwitterなんか知ってしまったんだろう




いや




何で彼女と知り合ってしまったんだろう…




連絡が途絶えて一年が経った頃彼女のアカウントは突然削除されていた


何かあったのだろうか…?彼女の本名で検索をかけても彼女のアカウントらしきものは出て来ない


でも俺は寂しさ以上に安堵感で満たされた


やっと心の傷が癒えようとしていたから…




これで本当に彼女を忘れられる




理奈との出会いで受けた爪痕は大きかったが、この経験を経て多くの事を学んだ


今まで生きてきた中で、一番悲しい恋は




終った